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最高裁判所第一小法廷 昭和38年(あ)527号 判決 1964年1月23日

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人田鳳好及び金済学の弁護人岡部勇二の上告趣意第一点について、

所論は縷々論述するが、これを要約すれば次のとおりである。すなわち、本件はいわゆる「パチンコの景品たばこの再売却」に関する事案であるが、パチンコの景品なるものは一旦指定小売人から正規に売渡されたもので、専売益金の収納という、たばこ専売による財政上の目的は既に充足され、単純な商品となっているものであるから、自由に売買取引の物体となるものでありこれを販売したからといって国家財政の財源に影響を及ぼす筈もなく、自然当該販売行為には違法性は認められないのであるから、被告人らの判示行為をたばこ専売法二九条二項、七一条五号に該当するものと判断した原判決は右法条の解釈を誤って適用した違法があり、延いては憲法三一条に違反するとともに同法二九条一項に違反するものであるというのである。しかしながら、パチンコの景品たばこの販売を放置するときは、たばこは全くの自由商品と化するのおそれが甚大であり、延いては国がたばこの専売を独占し、もって国の財政収入を確保せんがため、所定の売捌人以外の者による販売を厳重に取締っている専売制度の趣旨を乱すに至るであろうことは火を見るよりも明らかであるから、景品たばこを販売することは右制度の趣旨に反し、たばこ専売法二九条二項に反する違法な行為といわなければならない。この点は当裁判所の判例(昭和三三年(あ)第一二六五号同三五年六月二三日第一小法廷判決刑集一四巻八号一〇八二頁昭和三七年(あ)第四一〇号同年九月一三日第一小法廷判決刑集一六巻九号一三二七頁参照)の趣旨として是認するところであって、今ここにこれを変更するの要を見ない。

これを要するに、所論は独自の見解に立脚して右判例に反する単なる法令違反を主張し、延いて所論の違憲をいうものであって(この違憲をいう点は前提を欠くに帰する)、すべて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第二点について、

前段説示したところにより明かなとおり、原判示の景品たばこはたばこ専売法七五条にいわゆる犯罪にかかるたばこであるから、原判決の是認した第一審判決がこれを没収したのは正当である。所論は独自の所見に基づく単なる法令違反の主張である(この点は当裁判所累次の判例の趣旨として是認する所であり、今これを変更する要を見ない)。なお違憲をいう点は右法令違反を前提とするものであるから、自らその前提を欠くに帰する。故に所論はすべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第三点は量刑の非難で、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

徐永秀の弁護人木戸梯次郎の上告趣意は量刑の非難であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって、同四〇八条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 入江俊郎 裁判官 斎藤朔郎 裁判官 長部謹吾)

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